ミュゼの通い放題100円を真似したらどうなる?個人サロンがミュゼに立ち向かう5つの対策
ミュゼプラチナムといえば、100円通い放題。2024年2月時点の100円対象部位は、顔、VIO込みの全身脱毛です。過去の100円通い放題は「わきだけ」など限定されていたのですが、とうとう顔・VIO込みの全身脱毛が100円になってしまいました。
「そんな低価格でお客さんを集められたら困る」と感じているサロンのオーナー様も多いのでは?そこで今回は、ミュゼプラチナムの100円キャンペーンのからくりと、個人サロンが格安キャンペーンを導入するデメリット、そして個人サロンがミュゼプラチナムの100円キャンペーンに立ち向かうための対策をお届けします。
ミュゼプラチナムの100円は嘘?初回カウンセリングの全貌とは
ミュゼプラチナムの100円キャンペーンを見ると、真っ先に思い浮かぶのは「どうせ予約がとれないんでしょ」「予約が取れても強めに勧誘されて高いコースを契約することになるんでしょ」といった疑問です。
まずは、ミュゼプラチナムの100円キャンペーンの初回カウンセリングと勧誘について解説します。
ミュゼの100円は嘘じゃない!100円で契約できる人もいる
ミュゼの100円キャンペーンは嘘ではありません。GoogleマップやX、Instagramでユーザーの声を拾ってみると、100円キャンペーンだけ契約して顔・VIO込みの全身脱毛コースに通っている方は存在しています。
元ミュゼプラチナムの従業員にヒアリングしてみたところ「100円コースだけで契約するお客さんもいますよ」とのことでした。
ミュゼの100円は必ず勧誘とセット
ただし100円キャンペーンのお客さんは必ず勧誘は受けます。サロン脱毛、医療脱毛を問わず4回では脱毛を卒業することはできません。当然ですが、すべてのお客様が100円コースのみを契約していたら、ミュゼプラチナムの経営は立ち行きません。店舗の賃料や従業員の人件費等の固定費すらペイできない状態です。したがって、100円コースを希望しているお客様にもコース契約もお勧めします。
初回のカウンセリングで契約しなかったお客さんは施術中も勧誘される
初回のカウンセリングで通常価格のコース契約に至らなかったお客様については、100円コースの消化中も勧誘が続きます。勧誘ゼロで4回の100円コースを終了することはないとのこと。脱毛に興味がある、ムダ毛に悩んでいるといった方は4回コースが完了するまでに契約しやすい傾向だそうです。
100円キャンペーンはミュゼにとってプラスになる
ミュゼプラチナムの100円キャンペーンは、年々内容がボリュームアップしています。カウンセリングや施術中に通常のコースの勧誘を行うとはいえ、「ここまでやって利益率に問題はないのか」と不思議に感じますよね。そこで、ミュゼが100円キャンペーンを続けている理由について考察いたしました。
100円キャンペーンのおかげで集客単価は低い
ミュゼプラチナムの100円キャンペーンは一見すると店舗全体の利益率を低下させる施策のようにみえますが、実は集客コストという点で検討すると他の脱毛サロンと差はありません。いずれの脱毛サロンも新規のお客様を一人集客するために一定のコストをかけています。時期にもよりますが、お客様1人の新規集客コストは数万円かかることも。しかし、ミュゼプラチナムの100円キャンペーンは、他の脱毛サロンと比べると集客単価が低い可能性が高いです。電車広告やテレビCMといった1人あたりの集客単価が低い手法でも、100円というインパクトで十分に集客できるからです。
100円キャンペーンで集めた会員データをマーケティングデータとし活用
ミュゼプラチナムはミュゼマーケティングという事業を展開しています。ミュゼマーケティングはミュゼの店舗やサイト、ミュゼが持つ会員データを活用したマーケティング支援サービスです。ミュゼ会員専用アプリ「ミュゼパスポート」にミュゼマーケティングの顧客企業のバナーを設置する、ミュゼの会員にメルマガを送信するといった施策を提供しています。つまり、100円で集めたお客様が契約に至らずとも、そのデータ群が別事業に大きく貢献しているのです。
※自社調べ
100円キャンペーンに対抗したい!個人サロンが真似したらどうなる?
「ミュゼが100円ならうちは1円でキャンペーンをうつ」
そう考えるオーナー様もいらっしゃるかと思います。結論から先に述べると個人サロンの格安キャンペーンは大手には太刀打ちできません。なぜならば、個人サロンは大手サロンほどのキャパがないからです。また大手サロンのようなバックアップ体制もありませんし、マーケティング施策に活用することもできません。
個人サロンのキャパは小さく予約枠が圧迫される
ミュゼは全国に180店舗を擁しており各店舗には複数のエステティシャンが在籍しています。したがって、100円キャンペーンで多数のお客様が押し寄せても、既存のお客様のケアには影響を与えません。しかし、個人サロン様にはキャパがありません。格安キャンペーンで予約が埋まってしまうと、既存のお客様のケアが行き届かなくなります。かといって、格安キャンペーンの予約枠を絞りすぎると「予約できないサロンだ」といった口コミが広がってしまいます。
大手サロンのようなバックアップ体制がないためストレス過多になる
ミュゼは業界最大手の脱毛サロンであり、スタッフ教育やスタッフのサポート体制が万全です。カウンセリングはカウンセリングスキルが高いベテランスタッフが行い、施術は一般のスタッフが担当します。したがって、カウンセリングの方針や進め方の教育が徹底されており100円キャンペーンのお客様への対応も類型化されています。
- 100円しか払うつもりがなさそうと感じたお客様については粘らない
- 契約の余地があるお客様には丁寧におすすめをする
- 対処が難しいお客様についてはスタッフ間で注意事項を共有しておく
したがって、大手サロンであれば100円キャンペーンで集まった様々なお客様に対しても最小限のストレスで対応できます。
しかし、格安キャンペーンに初めて取り組む個人サロン様にはこういったお客様に対するノウハウが蓄積されていません。また個人サロンは1名から数名のスタッフで運営していることが多く、対応が難しいお客様への組織的な対応に苦慮しやすい傾向です。最終的にはオーナー様が全ての問題、課題を解決することになります。
サロンの利益率が向上しにくくなる
格安キャンペーンによる集客における最大のデメリットは、サービス価格が低下して利益率が低下することです。サービスの価格と客層は比例するといわれています。客単価5万円の寿司店には富裕層が多く訪れますが、1皿100円の回転寿司には様々なお客様がいらっしゃいます。回転寿司であれば薄利多売が成り立ちますので様々な客層の顧客が集まっても問題はありません。そもそもがマス層をターゲットにした経営戦略に基づき集客しています。
しかし、個人のエステサロンや脱毛サロンは、対応できる顧客の数も営業時間も限定されています。そんな中で、お客様として望ましいのは、高単価のメニューを契約してくださる方です。格安キャンペーンに魅力を感じた安さを求めるお客様が殺到しても、オーナー様、スタッフが疲弊するだけで利益率は向上しません。
客層が悪化する
100円キャンペーンで集まったお客様の中には、クーポン荒らしや初回荒らしといった方が含まれます。そういったお客様はスタッフに望ましくない態度をとることがあります。また些細なことでクレームに発展しやすく、コミュニケーションコストが高くなりがちです。
お客様の質が低下すると、スタッフがストレスを抱えやすくなり離職につながります。美容業界は従業員の定着率が悪い上に採用難が続いているため、スタッフの離職は避けたいものです。スタッフの待遇の面においても、格安キャンペーンで集客したお客様が増えることは得策とはいえません。
個人サロンがミュゼの100円キャンペーンに勝つための5つの方法
では個人サロンがミュゼプラチナムの100円キャンペーンに対抗するためにどうすればよいのでしょうか。具体的な対策について説明いたします。
大手サロン全体ではなく、エリア内の店舗に照準を絞る
「ミュゼプラチナムに勝ちたい」と思っても実現することは容易ではありません。敵は180超の店舗を抱える大手サロンです。しかし、「ミュゼプラチナム〇〇店に勝ちたい」の場合はいかがでしょうか。ミュゼプラチナム全体を見るとスタッフ数も1000名を超えますが、各店舗に配属されているエステティシャンの数は数名です。店舗の面積もそれほど大きくありません。あなたのサロンよりも優れていると言い切れるでしょうか。むしろ「これなら勝てるかもしれない」と思えるはずです。
経営者が「大手には勝てない」と思っている限り、勝つことはできません。まずはライバルを絞って「ここになら勝てそうだ」と考えるようにしてください。
大手サロンの広告戦略をリサーチして想定顧客をあぶりだす
大手サロンは全国的なマーケ施策だけでなく、地域ごとにマーケティング戦略を練っています。チラシを配ったり、SNSの地域限定広告を配信したり、テレビCMを流したりといった手法を、地域の特徴によって組みあわせているはずです。
まずは誰に向けてどんな広告を流しているかを確認して、大手サロンの想定顧客層を予想します。夕方の情報番組でCMを流していれば主婦層をターゲットにしていると想定できますし、TikTokやInstagramなどのSNSの割合が大きいのであれば、10代後半から20代の若者をターゲットにしていると考えられます。
大手サロンが狙っていない顧客層へのアプローチする
個人サロンは大手サロンと同じ顧客層にアプローチをしても勝率は低めです。それよりも大手サロンが想定していない顧客層を狙ってみましょう。ミュゼプラチナムが若年層をメインに集客しているのであれば、あなたのサロンは30代以降のミドル女性を狙ってみるとよいかもしれません。近隣に大手のメンズサロンがないのであれば、メンズをターゲットにしてもよいでしょう。いずれにせよターゲットをずらしてみてください。
どうしても同じ層を狙いたいのであれば、さらに層を絞ってみてください。大手サロンが「〇〇市の20代女性」を狙っているのであれば、あなたのサロンは「〇〇市△△町に住む18歳から22歳の女性」というふうにエリアや年齢を絞ります。
アプローチ方法は様々です。学生街で学生にアプローチする場合は大学近隣でのチラシ配布が有効です。エリアを絞ったSNS広告の出稿も一定の効果が期待できます。
大手サロンに勝てる要素を作る
お客様が脱毛サロンを選ぶとき、価格、サービスの質、物理的・心理的なアクセスのしやすさ、付加価値で判断します。まずはあなたのサロンと大手サロンについて、それぞれの項目を書き出してみてください。そして、あなたのサロンが秀でている部分をリストアップしてみましょう。
大手サロンよりも優れている部分があれば、広告や美容ポータルサイト等で強くアピールしてみてください。たとえば、大手サロンよりも営業時間が長いことが優れているのであればそれを強調してみましょう。
また脱毛卒業までのトータル価格であれば、ミュゼの100円キャンペーンに勝てるケースもあります。ミュゼプラチナムの全身脱毛6回コースは17万1500円※です。ここに100円キャンペーンの4回を加えると17万1600円が10回コースの総額となります。あなたのサロンの10回コースが17万15100円以下であれば、ミュゼプラチナムよりもお得であるといえますよね。
※各種割引適用後の価格。通常価格は37万5000円。
パーソナライズされた付加価値を提供する
個人サロンは、お客様のニーズに合ったサービスを提供することができます。たとえばお仕事にお疲れの30代女性であれば、施術中に足や腕をマッサージしてさしあげたり、疲労回復効果があるドリンクを用意したりすることで、付加価値を提供できます。
お客さまとの会話内容を覚えておくことは満足度アップにつながります。すべての会話を覚えておくことは不可能ですので、接客を終えるたびにお客様ごとに会話内容をまとめておくとよいでしょう。お客様と好きなアーティストについてお話をしたら、次回の来店時にそのアーティストの曲を流しておくと喜ばれます。こういったお客様に寄り添った接客を徹底することは、大手サロンには真似ができません。
ミュゼプラチナムの100円キャンペーンに恐れず立ち向かおう
今回はミュゼプラチナムの100円キャンペーンの仕組みと個人サロンが立ち向かう方法についてお届けしました。100円キャンペーンは顔・VIO・全身脱毛4回というお得なキャンペーンですが、個人サロンでも対抗することはできます。ミュゼと同じ戦略をとるのではなく、ミュゼが狙っていない顧客層をターゲットにミュゼよりも優れている点をアピールしてみましょう。